骨盤臓器脱(性器脱)
このページでは、骨盤臓器脱(性器脱)の症状や原因、治療法、予防法などについて詳しくご紹介します。
骨盤臓器脱(性器脱)とは
骨盤臓器脱(性器脱)とは、骨盤の中に収められているさまざまな臓器が徐々に垂れ下がり、膣から外へと出てしまう症状です。外へ出る臓器の種類により、子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤、小腸瘤、膣脱などに分かれ、これらの症状が単独で現れることもあれば、複数が同時に現れることもあります。
初期の主な自覚症状は、陰部に生じるピンポン玉のような異物感です。椅子に座ったときなどに、股にピンポン玉のようなものが挟まっているような感覚があります。
症状が現れるタイミングは、一般的に午後です。午前中の活動を経て、午後になると重力などの影響で徐々に臓器が垂れ下がってくる形です。
症状を自覚している方の中には、その見た目から医療機関の受診に抵抗を感じ、何年も放置している方が少なくありません。自然治癒することはなく、放置すると徐々に悪化していく可能性があるため、症状を自覚した際には早めに医療機関を受診することが望まれます。
骨盤臓器脱の主な症状
1. 下垂感や違和感
膣や下腹部に何かが下がってくるような感覚や、重い感じ、引っ張られるような痛みを感じることがあります。
2. 排尿・排便障害
- 尿が出にくい、頻尿、尿失禁、残尿感などの排尿障害。
- 便秘や排便困難、残便感などの排便障害も見られます。
3. 膣からの突出
膣からピンポン玉のようなものが触れる、または実際に突出している感覚があります。
4. その他の症状
- 歩行時に股の間に何かが挟まっているような感覚や、座った際に違和感を覚えることがあります。
- 脱出した臓器が下着に擦れて出血することもあります。
骨盤臓器脱(性器脱)の原因
骨盤臓器脱(性器脱)の直接的な原因は、骨盤の底にある筋肉やじん帯のゆるみです。骨盤の底には子宮や膀胱、直腸などの臓器を支える筋肉・じん帯があり、腹圧が加わることで各臓器が外に出ないよう支えられています。この筋肉・じん帯が出産や年齢の影響で徐々にゆるみ、重力で臓器が下方に向かって骨盤臓器脱(性器脱)を引き起こします。
症状が進行するとどうなる?
初期症状は股にピンポン玉が挟まったような異物感ですが、進行すると以下の症状が見られます:
- 尿の出にくさ、尿漏れ、便秘、残便感、残尿感。
- 臓器が常に外へ飛び出している状態になると、臓器が下着に擦れて出血したり、歩行が困難になることもあります。
- 外に飛び出した臓器は、重力の影響でさらに大きく飛び出していくため、放置すると症状が悪化します。
骨盤臓器脱(性器脱)の治療法
骨盤臓器脱(性器脱)には、いくつかの治療法があります。主な治療法を見てみましょう。
1. ペッサリー療法(保存療法)
ペッサリー療法は、膣の中にリングを挿入して垂れ下がる臓器を支える治療法です。リングによって症状が根治するわけではなく、対症療法と考えられます。
患者の体格や膣の状態に合わせたサイズのリングを選択しますが、人によっては強い違和感を感じる場合もあるため、選択は慎重に行う必要があります。適切なリングを使用しても、膣の炎症・出血・おりものの増加などの副作用があるため、3〜4か月に一度の頻度で交換が必要です。
リスクと注意点
- 長期間の装着により、膣内の炎症やびらん、潰瘍が発生する可能性があります。
- 定期的な通院が必要で、膣内の状態確認やペッサリーの交換を行います。
おすすめの方
- 手術を希望しない、または手術が困難な方。
- 一時的な症状緩和を希望する方。
2. 膣式子宮全摘術と前後膣壁縫縮術の組み合わせ
膣から子宮を全摘し、膣と膀胱を支える筋膜を縫合する手術です。直腸と膣を支える筋膜も補強し、臓器の脱出を抑えることが可能となります。
術後の入院期間は約10日で、保険適用で治療費は約22万円です。
リスクと注意点
- 手術に伴う一般的なリスク(感染、出血、麻酔合併症)があります。
- 術後の性機能や排尿・排便機能に影響が出る可能性があります。
おすすめの方
- 子宮脱が主な症状であり、子宮摘出を希望する方。
- 他の保存的治療が効果を示さなかった方。
3. メッシュ手術
メッシュ手術は、人工素材のメッシュを使用して臓器を固定する手術です。臓器を自然な位置に戻し、その状態でメッシュを使って固定します。
術後の入院期間は約7日で、保険適用で治療費は約23万円です。
リスクと注意点
- メッシュの露出や感染、異物反応の合併症があります。
- 術後の経過観察が重要で、定期的なフォローアップが必要です。
おすすめの方
- 再発リスクが高いと判断された方。
- 他の手術法で効果が得られなかった方。
骨盤臓器脱(性器脱)になりやすい人は?
- お産を複数回経験している人、更年期に差し掛かっている人、更年期を終えた人。
- 慢性的な便秘や咳、肥満体型の人。
- 重いものを持つことの多い職業の人。
骨盤臓器脱(性器脱)の予防法
日常生活での注意
日常的に踏ん張りすぎないことが重要です。たとえば、重いものを持つときには膝を曲げて、踏ん張らないように持ち上げます。また、トイレは長時間(15分以上)座らないように心掛けましょう。
骨盤底筋を鍛える体操
骨盤底筋を鍛える体操として、「肛門」と「膣・尿道」を締める体操を行いましょう。椅子に腰をかけて背筋を伸ばし、2〜3秒間にわたり肛門を締め、その後ゆっくりと力を抜きます。同様に、膣・尿道も締めることで効果が期待できます。
1日100回を目標に行うことで、骨盤臓器脱の予防に役立ちます。
まとめ
骨盤臓器脱(性器脱)は比較的発症率の高い病気ですが、恥ずかしがらずに医療機関を受診することが重要です。適切な治療法と日常的な予防で、症状の改善や進行を防ぐことができます。早めに対応し、健康な日常生活を取り戻しましょう。







