膣の老化
膣も加齢により老化する
私たちの体のあらゆる部分には、コラーゲンというタンパク質が豊富に存在しています。
コラーゲンとは?
コラーゲンは、体にハリやツヤ、潤いを与える重要な役割を持つタンパク質です。体内で常に生成されていますが、年齢とともにその生成量が減少します。この減少により、肌のハリやツヤ、潤いが徐々に低下し、これを美容的な「老化」と呼びます。
膣壁や膣の粘膜にもコラーゲンが豊富に含まれていますが、やはり加齢とともに膣内のコラーゲンも減少します。コラーゲンの減少に伴い、膣も自然と老化していくのです。
膣萎縮(ちついしゅく)とは?
膣萎縮とは、加齢により女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減少し、それによって膣壁などのコラーゲンが減ることで起こる症状のことです。具体的には、膣粘膜が固くなったり薄くなったり、傷つきやすくなったり、弾力が低下するなど、顔の老化と似たような変化が見られます。
さらに、膣萎縮と同時に外陰部(膣の外側の部分)も萎縮する「外陰萎縮」が起こることがあります。外陰萎縮になると、尿漏れや頻尿、性交時の痛み、灼熱感、乾燥、臭い、かゆみなどの不快な症状が現れます。
膣萎縮と外陰萎縮の直接的な原因はコラーゲンの減少ですが、その根本的な原因はエストロゲンの分泌量の低下です。個人差はありますが、女性はおおよそ35歳を過ぎるとエストロゲンの分泌が減少し始め、その後はコラーゲンの減少とともに膣萎縮や外陰萎縮が徐々に進行していきます。
膣萎縮の治療法
膣萎縮を改善するための主な治療法を以下に紹介します。
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ホルモン補充療法(HRT)
エストロゲンの減少が膣萎縮の主な原因であるため、エストロゲンを補充することで症状を改善します。
- 局所療法: 膣内にエストロゲンを直接投与する方法です。膣錠、クリーム、リングなどの形態があり、全身への影響が少なく、膣の乾燥やかゆみ、性交時の痛みの改善に効果的です。
- 全身療法: エストロゲンを内服薬や貼付薬で全身に補充する方法です。膣萎縮だけでなく、更年期全般の症状改善にも役立ちますが、乳がんや血栓症のリスクが高まる可能性があるため、医師とよく相談して行うことが重要です。
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非ホルモン療法
ホルモンを使用しない治療法で、副作用のリスクが低いのが特徴です。
- 保湿剤の使用: 膣内や外陰部に保湿ジェルやクリームを使用します。潤滑性を高め、乾燥やかゆみを軽減します。
- 潤滑剤の使用: 性交時の痛みを軽減するために使用します。水溶性の潤滑剤が一般的で、敏感肌の方は使用前にパッチテストを行うと安心です。
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骨盤底筋トレーニング
骨盤底筋を鍛えることで膣の血流が改善され、萎縮の症状を緩和します。
- ケーゲル体操: 肛門や膣を締める動作を繰り返す運動です。1日数回行うことで効果が期待できます。
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レーザー治療
膣内にレーザーを照射し、組織の再生を促す治療法です。
- モナリザタッチ: 炭酸ガスレーザーを使用し、膣壁のコラーゲン生成を促進します。数回の施術で効果が期待できますが、保険適用外の場合が多く、自費診療となります。
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生活習慣の改善
日常生活の見直しも、膣萎縮の症状緩和に役立ちます。
- 適度な運動: ウォーキングやヨガなどの全身運動は、血流を促進し膣の健康維持に効果的です。
- バランスの良い食事: 大豆製品など、植物性エストロゲンを含む食品を積極的に摂取することが推奨されます。
これらの治療法は、症状の程度や個人の状況に応じて選択されます。医師と相談し、最適な治療法を選ぶことが重要です。
膣の老化による症状
エストロゲンの分泌量が減少すると、膣やその周辺のコラーゲンが減り、膣萎縮や外陰萎縮などさまざまな不快な症状が現れます。これらの症状を総称して「GSM(加齢関連膣尿路症候群)」と言います。GSMの主な症状を以下に紹介します。
膣や外陰部に現れる症状
- 膣のゆるみ
- 膣からの異臭
- おりものの増加・減少
- 不正出血
- 外陰部の乾燥・かゆみ・灼熱感
尿路に現れる症状
- 排尿時の痛み
- 残尿感
- 頻尿
- 尿漏れ
- 膀胱炎
- 尿意の切迫感
性生活に現れる症状
- 性交時の痛み
- 性交時の潤い不足
- 挿入の困難
- 性交後の出血
- オーガズム感の低下
膣萎縮や外陰萎縮を経験している方は、これらGSMと呼ばれるさまざまな症状を同時に抱えている可能性があります。
GSMは放置すると自然には改善せず、症状が悪化して生活の質(QOL)を低下させることがあります。心当たりのある方は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
膣の老化への対策は?
コラーゲンの減少による膣の老化や、それに伴うさまざまな症状は、放置すると悪化します。改善を図るためには、婦人科などで適切な治療を受けることが必要です。
膣の老化を治療する方法はいくつかありますが、近年特に注目されているのが「モナリザタッチ」です。
モナリザタッチとは
モナリザタッチは、膣の老化による症状を改善するために開発された治療法で、炭酸ガスフラクショナルレーザー(CO₂レーザー)を使用します。このレーザー技術は、以前は顔のリフトアップやたるみ改善に用いられてきましたが、現在では膣内の治療にも応用されています。
機器の概要モナリザタッチで使用されるCO₂レーザーは、膣内の粘膜に微細なドット状のレーザー光を照射します。これにより、粘膜に微小な損傷が生じ、自然治癒力が促進されます。このプロセスで線維芽細胞が活性化され、新たなコラーゲンやエラスチンの生成が促されます。
膣の老化に対する効果膣の老化は、エストロゲンの減少により粘膜が薄くなり、弾力性や潤いが失われることで引き起こされます。モナリザタッチのレーザー照射により、以下の効果が期待できます。
- 粘膜の厚みと弾力性の回復: 新たなコラーゲンの生成により、膣粘膜がふっくらとし、弾力性が増します。
- 潤いの増加: 粘膜の健康が改善されることで、自然な潤いが増し、乾燥感やかゆみが軽減されます。
- 性交痛の緩和: 粘膜の状態が改善されることで、性交時の痛みが軽減され、快適さが向上します。
- 尿失禁の改善: 膣壁が強化されることで、軽度の尿失禁症状が改善されることがあります。
モナリザタッチは、膣だけでなく外陰部にも照射することが可能です。これにより、膣萎縮と外陰萎縮の両方に対応でき、外陰部の症状も緩和されます。施術は約15分程度で、通常麻酔は不要であり、ダウンタイムもほとんどありません。ただし、効果の持続には個人差があり、定期的な施術が推奨される場合があります。
まとめ
本記事では、膣の老化に関連する膣萎縮や外陰萎縮、GSMの原因・症状について詳しく解説しました。また、これらの症状を緩和するための治療法として、モナリザタッチの有効性についてもご紹介しました。
女性は年齢とともにエストロゲンの分泌量が減少し、結果としてコラーゲンの生成量も減少します。症状の程度には個人差がありますが、多くの女性が膣の老化やGSMを経験する可能性があります。
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