女性の不感症は治療できる?
女性の不感症について
女性の不感症とは、男性との性行為の際に性的な興奮や快感を感じにくくなる症状です。「性行為をするのが嫌だ」という状態ではなく、「性行為はできるけれども感じにくい」という状態を不感症と言います。
女性の不感症の主な症状・原因などについて見ていきましょう。
不感症の症状
女性の不感症の主な症状は次の通りです。
- 性欲がほとんど湧かない
- 性行為をしても、あまり気持ち良いと感じない
- オーガズムを感じたことがない
- 濡れない・濡れにくい
不感症は、嫌悪感などで性行為ができない、という状態ではありません。性行為はできるものの、それに伴う性的興奮や快感を感じにくい状態を言います。
また、中には性欲そのものが湧きおこらない無性欲症(冷感症)という症状もあります。
なお、性行為の経験が少ない若い女性の中には、性交時に快感を得られないという方も多く見られますが、こちらの症状は性感帯の未発達が原因となっている場合が多いので、基本的に問題はありません。経験を重ねるに応じ、徐々に性感帯が発達して性交時の快感を得られるようになっていくのが一般的です。
不感症の原因
ある程度の性行為の経験があるにも関わらず、性行為の際に快感を感じられない場合には、不感症の可能性があります(※)。
以下、女性が不感症となる主な原因を4つほど見てみましょう。
※厳密には不感症と異なりますが、無性欲症(冷感症)の可能性もあります。
精神的な要因によるもの
精神的な要因を背景とし、性交時に快感を感じられない女性がいます。
主な精神的要因は、性行為に対する恐怖心です。いざ性行為を行うとなった際、過去の性交時に感じた痛みや不安が頭をよぎり、恐怖心から快感を得られないというタイプです。
恐怖心の他にも、性行為に対する恥ずかしさが精神的要因となり、快感を得られない女性もいます。
精神的な理由である以上、クリニックなどでカウンセリングを受けることが効果的な解決法になるでしょう。
冷え性など体質によるもの
体質的に冷え性の女性にも、不感症となる傾向が見られます。
冷え性の女性の中には、全身的に血行の状態が悪い方も見られます。血行が悪くなれば性的な感度が鈍くなることから、体が緊張状態となって濡れにくくなったり、快感を感じにくくなったりすることがあります。精神的にはリラックスしていても、体が緊張状態の場合には濡れにくなる傾向があります。
また、冷え性とは異なりますが、もともと膣が濡れにくい体質の女性もいます。汗をかきにくい方に多い症状と言われています。
陰核(クリトリス)包茎によるもの
陰核(クリトリス)包茎により、性的な感度が下がってしまう女性もいます。
陰核(クリトリス)包茎とは、クリトリスの外側にある「包皮」と呼ばれる皮膚がクリトリス全体を包んでいる状態です。全ての女性のクリトリスには包皮がありますが、「包皮が多い」「包皮がめくれていない」などの理由で性交時にクリトリスが露出しない方は、性的な感度が下がってしまうとされています。
陰核(クリトリス)包茎が原因の不感症の場合には、包皮を切開する手術により感度を高められます。
膣のゆるみによるもの
膣のゆるみが不感症の要因となっている場合もあります。
女性は、出産や加齢の影響で膣がゆるんでしまうこともあります。膣は、そのものが性感帯でもあることから、ゆるみによって男性器との接触程度が弱くなれば、性交時の快感を感じにくくなるでしょう。
膣のゆるみによる不感症は、セルフトレーニングやクリニックでの治療で改善が期待できます。
女性の不感症の改善・治療方法
自身での解決する方法
パートナーと相談する
不感症の原因が精神的なものならば、パートナーに相談して、一緒に協力しながら少しずつ症状の改善を目指していきましょう。
パートナーに理解があれば、きっと協力してくれるはずです。パートナーが協力してくれれば、信頼関係の向上から性交時の恐怖心・不安も少しずつ和らいでいくでしょう。
クリニックなどでカウンセリングを受けることも有効な手段ですが、カウンセリングの前に、まずはパートナーへ相談してみるようおすすめします。
骨盤底筋を鍛える
膣のゆるみが原因で不感症となっている女性は、骨盤底筋を鍛える「膣トレ」を行うことで、性的な感度が上がっていくこともあります。
膣トレにはいくつかの種類がありますが、よく知られている法がケーゲル体操。もともと尿漏れ対策として開発されたトレーニングですが、実践した女性たちから「感度が上がった」との声が多く聞かれるようになり、現在では代表的な膣トレのひとつとして定着しています。
- ケーゲル体操の方法
- ①肩幅に足を広げて立ち、お腹の力を抜きます。
- ②膣や肛門を引き上げるようなイメージで力を入れます。
- ③息を止め、力を入れた状態を5秒間ほどキープします。
- ④5秒間ほどかけて息を吐きながら、ゆっくりと力を抜いていきます。
- ⑤以上のトレーニングを1日に数回繰り返します。
トレーニングに慣れてきたら、力を入れる時間を伸ばしていきましょう。
椅子に座った姿勢や寝転がった姿勢でもトレーニングできます。
クリニックでの治療法
医師やカウンセラーに相談する
ご紹介した方法で不感症が改善しない場合には、医師やカウンセラーへ相談してみると良いでしょう。医師やカウンセラーに相談すれば、不感症の原因を特定し、原因に応じた改善策を提案してくれます。
自己流で様々な改善策を試すことも否定しませんが、努力しているにも関わらず不感症が改善しない場合、自信喪失からますます症状が悪くなる可能性もあります。
効率的に不感症を解決したいならば、早い段階で医師などに相談してみるようおすすめします。
婦人科形成で治療する
婦人科形成に対応しているクリニックでは、女性の不感症に対して適切な治療を用意しています。主な治療法を見てみましょう。
- 膣縮小術
膣のゆるみを引き締めて感度アップを目指す治療です。
近年、広く行われている膣縮小術はレーザー治療。レーザーを照射する機器を膣内に挿入し、レーザーの刺激で膣のコラーゲン生成を促し、膣壁をふっくらとさせる施術です。施術中の痛みはほとんどなく、当日からシャワーを浴びられるなどダウンタイムもほとんどありません。
なお、レーザー治療よりも高い効果を得たい方や半永久的な膣引き締め効果を得たい方は、メスを使って膣を狭くする外科手術も選択できます。
- 注入治療
膣のゆるみを改善する治療法として、レーザーの他にも注入治療が広く行われています。
注入治療とは、注射器で膣壁にヒアルロン酸などを注入し、膣にふくらみを付ける施術です。膣がふくらむことで膣道が狭くなり、性交時の刺激を感じやすくなります。
- クリトリス包茎治療
クリトリス包茎が原因で性的な感度が下がっている女性に対しては、クリトリスを覆っている豊富を切除する治療が用意されています。
包皮を切除すればクリトリスが露出するため、外部からの刺激を受けやすくなり感度アップが期待できます。
まとめ
女性の不感症の症状や原因、改善のためのセルフトレーニングやクリニックでの治療法についてご紹介しました。
女性の不感症の多くは、原因に応じた対策を講じることで改善が期待できます。ただし、きちんと原因を特定しなければ、改善に向けた努力がムダになりかねません。
時間や気持ちに余裕のある方ならば、セルフトレーニングなどの様々な方法を試してみても良いのですが、すぐにでもパートナーとの性生活を充実させたいならば、クリニックに相談することが近道でしょう。