陰核(クリトリス)包茎とはどんな症状?
デリケートゾーンのニオイが気になる方、パートナーからニオイを指摘されたことのある方、性行為の快感を得にくい方などは、陰核包茎の可能性があります。
陰核包茎は病気ではないため、改善しなくても健康には影響ありません。ただし、パートナーとの性生活におけるQOL(生活の質)を低下させる可能性があるため、改善を検討するのも一つの手です。
以下では、陰核包茎の症状、種類、原因について詳しく見ていきましょう。
陰核包茎の状態とは?
性行為の際に陰核を覆っている包皮が自然に露出しない状態、または手で包皮を移動させようとしても陰核が露出しない状態を、陰核包茎と言います。
陰核とは、小陰唇の上部の先端にある突起状の器官です。通常は包皮で覆われていますが、性的刺激を感じた際や手で包皮を移動させることで露出します。
陰核は高い性的刺激を受ける器官であり、包皮に覆われたままだと、性的な興奮が得られにくいとされています。
陰核包茎の種類と判別方法
陰核包茎(クリトリス包茎)は、クリトリスが包皮に覆われている状態を指し、包皮の覆い方や程度により以下のように分類されます。
1. 軽度の陰核包茎
- 特徴:クリトリスの一部が包皮に覆われていますが、手で簡単に露出させることができます。
- 判別方法:清潔な手で包皮を優しく引き下げ、クリトリスが容易に露出するか確認します。
- 特徴:クリトリス全体が包皮に覆われており、手で剥くことは可能ですが、やや困難を伴います。
- 判別方法:包皮を引き下げる際に抵抗や軽い痛みを感じる場合があります。
- 特徴:クリトリスが完全に包皮に覆われており、手で剥くことが非常に難しい、または不可能な状態です。
- 判別方法:包皮を引き下げようとしてもクリトリスが露出せず、強い抵抗や痛みを感じることがあります。
2. 中等度の陰核包茎
3. 重度の陰核包茎
判別の具体的な手順
- 視覚的確認:鏡を使用して、クリトリスがどの程度包皮に覆われているかを観察します。
- 触診:清潔な手で包皮を優しく引き下げ、クリトリスが露出するか確認します。
- 感覚の確認:包皮を動かす際に痛みや不快感がないかをチェックします。
自己判断が難しい場合や、衛生面や性感度に関する懸念がある場合は、婦人科や専門の医療機関での相談をおすすめします。
陰核包茎の原因
主な原因は先天的な要因であり、遺伝的な影響や個人差によって包皮の大きさや厚さが決まります。特に、小陰唇が肥大している場合、包皮も厚くなりやすく、陰核包茎を引き起こす傾向があります。
また、衛生状態の悪化も陰核包茎の一因となることがあります。デリケートゾーンは汚れが溜まりやすく、適切なケアを怠ると包皮が剥けにくくなる場合があります。このような場合、デリケートゾーン専用のソープなどを使用し、刺激を与えないようにケアすることが重要です。
陰核包茎による症状は?
恥垢がたまりやすくなる
陰核包茎は、デリケートゾーンのニオイの原因になることがあります。包皮と陰核との間のポケット状の部位を十分に洗浄することが難しく、徐々に垢や汚れ(恥垢)がたまっていきます。これがデリケートゾーンから嫌なニオイを生じさせる原因になることもあります。
垢や汚れの中で細菌が繁殖すれば、陰核に炎症が生じる可能性もあります。
不感症の原因となる
陰核包茎は、性行為における不感症の原因となる場合があります。露出した陰核は強い性的刺激を受ける器官ですが、包皮がクッションとなることで性的刺激が十分に得られないことがあります。これにより、性的快感を得にくくなり、性行為への関心が低下することもあります。
放置するリスク
- 衛生面の問題:包皮内に経血や尿などの汚れが溜まりやすく、恥垢が蓄積します。これにより、デリケートゾーンのニオイの原因となり、不衛生な状態が続く可能性があります。
- 感染症のリスク:汚れが溜まることで雑菌が繁殖しやすくなり、細菌性の炎症や感染症を引き起こす可能性があります。特に、包皮とクリトリスが癒着すると、痛みやさらなる感染リスクが高まります。
- 性感度の低下:クリトリスが常に包皮に覆われていると、性的刺激が伝わりにくくなり、感度が低下することがあります。これにより、性的快感を得にくくなる可能性があります。
- 心理的影響:包茎の状態が続くと、見た目に対するコンプレックスや心理的なストレスを感じることがあります。これが原因で、性行為に対して消極的になる場合もあります。
陰核包茎を放置すると、以下のリスクが考えられます。
陰核包茎の治療法は?
陰核包茎は、陰核包茎手術を受けることで比較的簡単に改善します。以下では、陰核包茎手術の概要や特徴を紹介します。
陰核包茎手術とは?
陰核包茎手術とは、包皮を切除して陰核を露出させる治療です。余分な皮膚を切除して陰核と包皮との間のポケットを浅くし、ニオイや不感症の要因を取り除きます。
陰核包茎手術の流れ
- 準備:婦人科検診の体勢でベッドに横になり、陰核と周辺の消毒を行った上でシーツをかけます。通常は局所麻酔で手術が行われますが、患者の希望があれば静脈麻酔の準備も整えます。
- デザイン:カウンセリングや診察で決めたデザインの通り、包皮にマーキングを行います。
- 麻酔:局所麻酔を行います。麻酔針を刺す際の痛みが心配な方は、吸引麻酔や静脈麻酔を併用することも可能です。静脈麻酔を使用した場合、ほぼ眠った状態での手術となり、痛みや不安を感じにくくなります。
- 切開:メスで包皮を切開します。クリニックによっては高周波メスを併用することもあります。
- 縫合:切開した部分を縫合します。縫合方法はクリニックの方針により異なります。
- 安静:リカバリールームで30分ほど安静にします。その後、傷の状態に問題がなければ、ナプキンを付けた状態で帰宅します。
術後のリスクと経過
手術後、患部の腫れや痛み、出血が見られることがあります。腫れは手術当日から翌日がピークとなり、その後は少しずつ緩和します。痛みを和らげるための鎮痛剤が処方されるため、手術当日や翌日でも日常生活に大きな支障はないでしょう。出血量は傷口から少々にじむ程度です。
手術後の注意点とダウンタイム
傷口の状態にもよりますが、基本的にシャワーは手術翌日から可能です。ただし、体を温めすぎると血行が良くなり出血しやすくなるため、短時間のシャワーに留めましょう。入浴は術後1~2週間ほど控える必要があります。
運動・飲酒も血行を良くし出血しやすくするため、術後1週間ほどは控えましょう。傷口からの感染リスクを避けるため、術後2週間ほどはプールや温泉も控えてください。
まとめ
陰核包茎の概要や症状、治療法について詳しく紹介しました。陰核包茎は病気ではなく、生まれつき女性器の一部の皮が厚くて多い状態です。そのため、特別な問題を感じていない方には、治療は必須ではありません。
ただし、デリケートゾーンのニオイが気になったり、性行為の際の快感が低下したりしてQOLの低下を感じている場合は、治療を検討する価値があります。
陰核包茎手術は大がかりな手術ではありません。関心のある方は、気軽に婦人科形成クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。